その瞳に映すもの

プロローグ

 それは、突然だった。

 「ねぇ、椿。お父さんとお母さん離婚す

ることになったから。だけど、私達2人と

も、椿と一緒に暮らすのは、ちょっと嫌で

ね……。そうしていたら、椿と一緒に暮ら

したいって人が現れたの!!……私の弟夫

婦なんだけど、椿は会ったことないよ

ね〜。……ぶっちゃけ、私、実家から絶縁

されていて、弟どころか両親とも会えない状

態なんだけどぉ、どこからか椿のことを聞

きつけたらしくて、椿を家で育てたいって言

ってて、私達にとっても都合が良いからOK

しちゃったわ!!と、いうことで、椿は1週

間後この家から出て行ってもらうことにな

ったから!ちなみに、この家は売りに出す

から、もう、私とお父さんと椿の3人で暮ら

すことは無いし、私もお父さんも新しい家

族がいるから椿と会うことはもう無いわ。

椿には悪いな〜と思ってるけど、今までだ

って大して変わらない生活だったと思う

し、椿は良い子だから大丈夫よね?……

椿、い い わ よ ね ?」


 僕、橘椿(たちばなつばき)が15歳の誕生日

の日に、久し振りに家族全員が揃った食卓

で母から一方的に言われたのがコレだっ

た。
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