その瞳に映すもの

 そんな感じで、僕は誕生日当日を過ご

し、その後は、ただの一度も両親と会うこ

とは無かった。


 僕が言った通り、お手伝いさん経由で僕

の今後が書かれた書類を貰い、その書類に

書かれた通りに行動することにした。


 お手伝いさんは、僕を見て涙を流しなが

ら、母親の弟夫婦と会うことがあり、実際

に会って話してみたら、母や父みたいな人

では無かったことと、これからの生活は何

も心配しなくて良いと伝えられた。


 僕の養育費や生活費は、今後は弟夫婦に

払われる決まりになっていて、弟夫婦はその

お金を受け取るつもりは無い、自分達が責

任を持って大切に育てると言ったらしいけ

ど、両親からお金だけは払わせて欲しいと

言われ、渋々納得したらしい。


 僕は、生まれ育った街から離れた新しい

街で生活することになった。今よりもっと

都会に行くことになると言われたので、そ

こそこ緊張しているのと、中途半端な時期

に転校することになったので、受け入れ先

の学校が中々見つからず、僕は地元では有

名の私立中学から、新しい街では、公立の

中学に行くことになり、お手伝いさんはそ

こだけは唯一の心配だと言っていた。


 きっと転入先の中学での勉強は物足りな

く感じると思うけど、そこは我慢して過ご

して、高校は僕の学力に合ったところに進

学して、勉強することを辞めるようなこと

だけはしないで欲しいと言われた。
< 12 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop