その瞳に映すもの

 そして、僕の転校するときの挨拶が忘れ

られないと言っていた。


 「今まで、僕と仲良くしてくれて、ありが

とうございました。僕は、皆と一緒に過ご

した時間はとても大切な物です。僕と家族の

話をしていたとき、僕に対して、もう少し自

分の思ったことを伝えた方が良いと言って

くれたことは忘れられません。僕は、誕生

日の日、両親に一緒に出掛けたいと伝える

つもりでしたが、結果的に違うことを伝え

ることになりました。ですが、僕の思って

いたことを伝えられたのは、皆が僕と友だ

ちになってくれたからです。僕、1人では両

親に思っていることを伝えることは出来ま

せんでした。本当にありがとう。皆と過ご

したこの思い出を大切に僕はこの街とお別

れしようと思います。申し訳ないけど、暫く

の間、こっちに来ることは無いと思います。

僕が大人になって、まだ、僕のことを覚えて

くれていたら、また、僕と一緒に遊んでく

ださい。さようなら。」


 この言葉を聞いた同級生達は、僕に起こ

った出来事を悟り、絶対に僕のことは忘れ

ないことと、大人になったら絶対に遊ばな

いといけないと、強く決意したと言ってい

た。


 実際のところ、大人になる前に一部の友

だちと会ったり、遊んだりすることに結果

的になるんだけど、その時の僕はそんな可

能性を全く考えていなかった。
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