その瞳に映すもの
僕は、その自己紹介を受けて、母親があ
あなのは、実家の影響もあるのでは無いか
と思った。続けて、
「そんな中生まれた僕は、綾瀬の家の中
では浮いた存在で、僕が実家で過ごしてい
た頃は女の子の洋服しか着せてもらえませ
んでした。学校と外に出掛ける時だけ男性
用の洋服といった環境で育ち、僕は20の誕
生日を迎えてから、実家を相手に絶縁する
といったことを伝え、中々納得してくれな
かったので、弁護士に頼んで裁判を起こす
といったことをして、大事にしたくなかっ
た実家から絶縁を許してもらう形になりま
した。これは、椿くんの母親が実家を絶縁
した後の出来事なので、椿くんの母親はこ
のことは知りません。僕の年齢は、今年で
27になり、職業は弁護士です。そこそこの
事務所に入っていてそこそこ稼いでいます。
隣にいる僕のお嫁さんの、爽(そう)さんは、
僕の環境とほぼ同じで、男性の洋服を家で
は着せられていた方です。職業は同じく弁護
士をして同じ事務所で働いていましたが、
僕との結婚を機に職場を退職、現在はネッ
トで漫画や小説を書いていて、小説の方は
書籍化されている作品もあります」