その瞳に映すもの
僕の母親と父親は、とても容姿の良い人
達だった。学校に行っていた頃はモデルと
してやっていたみたいだけど、そこそこ勉強
も出来たらしく、両親共に有名私立大学を
卒業して、そこそこ有名な企業に就職して、
傍から見れば順風満帆な生活を送っている
ような感じにしか見えない人生を送ってい
た。
僕はそんな両親から生まれた子どもだっ
た。僕は母親が就職して働き出す前に生ま
れた子どもで、僕の記憶の中にいる母親
は、いつも綺麗な服装をして働いているお
姉さんみたいな感じで、そのお姉さんが母
親だと認識するまで結構な時間がかかった
と記憶している。父親も殆ど家にいること
は無く、僕の中ではたまに家にいる綺麗な
お兄さん的な感覚だった。
子育ては全てベビーシッターに任せきり
というか、途中からお手伝いさんみたいな
人が家にいて、僕の世話をしてくれた。それ
でも、僕の中では両親は特別な存在で、2人
から褒められたい、認められたい一心で、
色々な習い事をしてみたり、勉強にも一生
懸命取り組んでいた。