その瞳に映すもの

 まず、僕はこの中学に転校したことをキ

ッカケに、真面目に制服を着ることを辞め

た。この中学は、前の私立中学と同じくら

い制服がお洒落だったので、Yシャツのボタ

ンを上までとめずに2つほど外し、ネクタ

イは緩く結ぶことにした。後、髪の毛を

徐々に明るい色へと染めていくことにし

た。元が茶色寄り黒髪だったので、はじめ

に明るい茶色に染めてみることにした。


幸い、お金はそこそこ貰っているので、如

月くんオススメの美容室に行って、染めても

らうことにした。染めたての髪の毛で新し

い家に帰ってきたとき、美玲さんも爽さんも

僕の姿に5秒は固まっていた。


 一応、美容室に行ってくると伝えてはいた

から、そこまで驚くかと思ったけれど、ま
 
さか僕が髪の毛を染めるとは考えていなか

ったらしい。


 如月くんは、僕の髪の毛を見て、


 「椿くんは、思い切りが良いよね。一

応、受験生だという自覚はあるのかな?普 

通の人間は、髪の毛を暗しようとする時期

に敢えて明るく染めるとは、恐れ入った

よ。」


 と、自分は金髪に緩いパーマをかけてい

るくせに、自分のことは棚に上げて言って

きた。僕が冷めた目を向けていると、彼は


 「俺は椿くんは、高校受験で良いところ

(お固い進学校)に行くために髪の毛をわざわ

ざ染めるとは思っていなかったのさ〜」
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