その瞳に映すもの
 
 両親は僕に対して冷たい態度を取ること

は無かった。よく褒めてくれはしたけど、

習い事や勉強を見てくれたこと、そして、学

校行事に来ることは一度も無かった。お手

伝いさんからの報告をたまに聞いていたの

か、僕と顔を合わせる時に習い事の成果や

勉強結果を褒めてくれていたので、僕は両

親は僕のことを忙しいけど見てくれている

のだと思っていた。


 それがただの勘違いだったことに気がつ

いたのが、15歳の誕生日だった。


 両親は、僕が何も聞いてはいないのに、

色々なことを教えてくれた。2人の出会いは

幼少期の頃からで、2人ともお金持ちの家に

生まれたらしく顔見知りの仲だったと言っ

ていた。そんな家庭で生まれた2人には幼い

頃からの婚約者がいたらしい。だけど、大

学生の頃に2人は、お酒の勢い?といった感

じで体の関係になり、気がついたら僕が母

親のお腹の中にいたらしい。そのことを知

った2人の両親は、とても怒り、2人とも婚

約者とは分かれることとなり、実家からは

絶縁されたらしい。


 幸いにも、2人ともモデルとしてそこそこ

稼いでいたこともあり、僕を育てることに

は何の問題も無かったこと、2人の就職先の

お偉い人達が2人のモデル時代のファンだっ

たこともあり、実家から絶縁されていても、

何の問題も無いと受け入れてくれて、たまに

2人の実家からの圧力?みたいなことはあっ

たらしいけど、就職先は実力主義的な環境

で、2人ともバリバリと仕事をこなしてい

て、会社の貢献度が高いことから、見逃し

てもらっていたらしい。
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