その瞳に映すもの
僕の自己紹介は担任から、入学式の挨拶
で既にしているという事にされ、クラスメ
イトからの質問に答えていく形になった。
僕だけ、ちょっとおかしくないか?
「綾瀬君に質問です。あの〜、綾瀬
君……僕、綾瀬君が多分小学生位の時に、
ピアノのコンクールで見た事があるんです
が、今はもうピアノはやっていないのです
か?」
久し振りに昔の事を思い出した気がす
る。
「もう、ピアノはやっていない。コンクー
ルで入賞したのを機に、別の習い事をする
事にしたから」
「えっ……??別の、ですか?!」
「そう。僕、色々な習い事をやっていた
んだけど、大会とかコンクールで入賞した
ら新しい物に挑戦していて、ある程度色々
な事はできるようになってる。別にプロを
目指してた訳じゃないから普通の事でし
ょ?」