その瞳に映すもの
 
 僕の住んでいるところは、そこそこ都会

でそこそこ田舎だ。だから、僕はある意味

地元では有名人という感じだ。


 今まではそのことに感謝していたけど、

今日、このタイミングは非常に都合が悪

い。2人にこの話をされたのが昼食時で食事

もそこそこにこの話をされたから、外はま

だ明るい。というか、昼間だ。だから、人

が普通に出歩いている時間帯だ。


 僕は、言いたいことを言って自室に戻っ

て、出掛ける用意をして外に飛び出して、と

いった間中涙が止まらない。


 勝手に涙が溢れてくる。痛くもないし、

悲しくもない、というか、悲しいよりも衝

撃的過ぎてもう僕の頭の中はグチャグチャ

だ。とにかく、こんな顔は見られたくない

から、僕は家を飛び出してからずっと走っ

ている。


 とにかく僕のことを知らない場所に行き

たい。こんな顔を知り合いに見られたくな

いし、見られたところで呼び止められたと

しても、理由なんて話したくない。


 僕は、とにかく走った。その間、知り合

いに会っていたかもしれないけど、僕の記

憶には一切残っていない。
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