スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
　悠真は大手製薬会社の御曹司なので、その付き合いで凪沙も外に出て行くことは多い。
　だけど、うまくスケジュールを合わせればなんとかなると思うのだけど……。

　すると、手にしていたスポンジを彼の手によって取り上げられる。

「揉みすぎ。泡でモコモコだよ」
「あ、本当だ」
　
　自分の手にも、泡がたっぷり付いてしまっていた。
　彼はそんな泡だらけの凪沙の手を掴み、水で洗い流してくれながら笑う。

「いいよ」
「え？」

　顔を上げると、そこには凪沙の大好きな笑みを浮かべる悠真がいる。
　ドキッとしながらも、彼の瞳に吸い込まれそうになってしまう。

　すると、急に彼は顔を近づけてきて、チュッと鼻の頭にキスをしてきた。
　目を瞬かせていると、そんな凪沙の表情がおかしかったのか。
　クスクスと声に出して悠真は笑う。

「姉さんを助けてあげてくれるかい？」
「いいんですか？」

　口に出しては言われたことはないが、悠真はどうも凪沙を外に出したくないと思っている節を感じていた。

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