スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 悠真の気持ちが離れてしまっている。そんな気がして仕方がなくなってしまった。

 つい先日までは、一人で起きる朝が寂しかった。だからこそ、疲れ果てるまで愛されるのはちょっと困るなんて思っていたのだ。

 今は、二人で朝を迎えている。凪沙の理想通りの生活を送っているはずだ。
 それなのに、こうして一人でリビングにいると寂しくて仕方がなくなってしまう。

 それでも、仕事は待ってくれない。今日もクリニックに行かなくては。
 重い腰を上げながら、凪沙は義姉夫婦のクリニックへと電車で向かう。

「おはようございます」

 から元気もいいところだ。でも、落ち込んでいては仕事にならない。
 凪沙が受け持っているのは、受付だ。病院の顔といっても過言ではない。
 だからこそ、いつも笑顔で優しく丁寧な対応を心がけている。落ち込んでいる場合ではない。

 ユニフォームに着替え終え、すぐさま受付業務の準備をし始めた。そんな凪沙に、クリニックのスタッフは次から次に声をかけてくれる。
 一週間もすればだんだんと周りとの関係も慣れてくるもので、他愛のない話もできるようになってきた。

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