スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
「諏訪先生のご実家は、愛媛なんですか?」
「そう。大学進学と同時にこちらに出てきたんだ」

 愛媛の銘菓を手に取りながら、「これ、大好きなんです」とはにかむ。
 友人にお土産でもらったのだが、それがとても美味しくてずっと食べたいと思っていたのだ。
 久しぶりに味わうことができると思うと、自ずと頬が緩んでしまう。

 ふと、諏訪がこちらをジッと見つめているのを感じて、首を傾げる。
 どうしたのかと目で問うと、彼はなぜかごまかすような素振りでおでこにかかっていた髪をかき上げた。

「い、いや。なんでもないよ」
「そうですか?」
「あ、ああ。うん。えっと……、じゃあ」

 受付を去って行く彼の後ろ姿を見送っていると、すれ違いざまに一緒に受付業務を回しているスタッフが入ってきた。

 彼女はどこかニヤニヤと意味深な笑みを浮かべている。

「どうかしましたか?」

 先程の諏訪といい、彼女といい、凪沙を見てなんだか笑っているようだ。
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