スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
　凪沙が即答しないのは、単に恥ずかしがっているだけだと思ったようだ。肘で脇腹をツンツンと触れてくる。

「まぁ、心配ないか」
「どういう意味ですか？」

　彼女の言わんとしている意味がまったくわからない。眉尻を下げている凪沙を見て、彼女は首を何度も左右に振る。

「霧子先生から、小椋さんご夫婦はラブラブすぎて胸やけがしてくるって聞いているし」
「えっと……え？」

　霧子にそんなふうに思われていたのか。カッと頬に熱が集まってしまう。

　身内の前では、極力冷静に行動していたつもりだ。
　それなのに、霧子にそんな印象を持たれていたなんて……。

　羞恥に堪える凪沙を見て、彼女はどこか安心した様子だ。
　うんうん、と頷いて納得したあと、彼女はパソコンを立ち上げる。

「まぁ、世の中には人妻だろうと横恋慕してくる人もいるから気をつけた方がいいってだけ忠告しておくわ」
「っ……」

　その忠告を聞き、真っ先に思い浮かんだのは悠真のことだ。
　あれだけ素敵な男性なのである。既婚者だとわかっていても、秋波を送る女性はいるだろう。
　
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