スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
　彼は何かを隠している。そのことにピンと女の勘が疼いたのだ。
　かといって、それ以上問い詰めることもできず、そのまま通話を切ったのは意気地なしな凪沙だ。
　
「どうしてこんなふうになってしまったんだろうな」

　あれから二週間が経とうとしている。

　仕事の方は、ようやく新しいスタッフが入ることが決まり、来週引き継ぎをしたらお役御免となる。

　義姉夫婦には大変感謝されたし、彼女たちの役に立てたのならよかったと思う。

　だけど、凪沙が仕事をし始めた結果、夫婦の関係が変わってしまった。あれから夜の生活は皆無のままだ。

　何がよくなかったのだろう、とこの頃よく考える。
　ただ、彼の妻として色々サポートをして新妻らしさを追求したかっただけだ。

　その目標のためには、彼からの過剰な愛撫は避けなければならなかった。
　ほんの少しだけ、自重してくれればいいな。当初はそんな軽い気持ちだった。

　だけど、こんなふうに全く触れ合うことがなくなってしまうなんて思いもしなかったし、こんな未来を求めていた訳じゃない。

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