スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
　彼からの愛撫がなくなったので朝は起きることができ、お見送りもできるようになった。
　でも、彼からの愛が薄れてしまったこの現状を憂い、この寂しさと切なさの感情をどこにぶつけていいのかわからなくなってしまう。

　仕事はこれで終わり、結婚したてだった日常に戻る。だが、愛に溢れていたあの頃にはもう戻れないのかもしれない。

　白濁した思いを抱きながら、再びカップに口をつける。
　もうすぐカップの中身は空になるが、まだあのマンションには帰りたくない。
　悠真が遅くなるのに、あの広いマンションに一人きりでいるのは精神安定上よろしくない。
　彼との関係がぎこちないものになってしまっている今、ますますその状況に打ちのめされてしまうからだ。

　それでも、明日はまた仕事がある。そろそろ家路についた方がいいだろう。

　店員にチェックを頼み、店を後にした。
　ロビーに足を向けたときだ。悠真の姿を目にして、足が止まる。

「え？　どうしてここに悠真くんが？」

　会食をこのホテルでしていたのか。声をかけようとしたのだが、その言葉をすぐ様呑み込む。
　彼の隣にスレンダーな女性が立っていたからだ。

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