スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 彼の目がとても真剣で、冗談を言っているようにはとても見えなかったからだ。

 戸惑っている凪沙に、彼は熱烈な告白をしてきた。

「旦那さんと別れて、僕と結婚してくれませんか?」

 まさかそんなことまで言われるとは思っておらず、あまりの衝撃に目を瞬くしかできなかった。

 実際問題、彼のプロポーズに応えるつもりはない。
 凪沙は既婚者であるし、何より夫である悠真が大好きだ。

 もしかしたら、悠真の心はすでに離れてしまっているかもしれない。それでも、最後の最後まで諦めたくはないのだ。

 首を横に振りながら、諏訪の手をゆっくりと解く。
 
「確かに、現在夫婦間はあまりいい状態じゃないと思います。夫の気持ちが離れてしまっているんじゃないかと思って、ここ最近悩んではいます」

 まっすぐな気持ちを向けてきた諏訪に対し、誠実でいたい。だからこそ、彼にはありのままの気持ちを告げた方がいい。
 そう思って正直なところを告げる。それを聞いて、諏訪は必死な形相で募ってくる。

「それなら考えてみてください。貴方の気持ちが落ち着くまで、ずっと待ちますから」

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