スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 諏訪に向かってゆっくりと首を横に振ったあと、彼を真っ正面から見つめた。

「それでも、私は夫が大好きなんです。もし、嫌われちゃったとしても、離婚してしまう未来が来たとしても……それでも大好きで」
「藤枝さん」
「悠真くん以外の男の人なんて、考えられません」

 凪沙の心は、常に悠真と一緒だった。それは、物心ついた頃からずっとだ。

 彼以外見えないし、考えられない。
 恋心も、愛する心も。すべて、すべて彼に教えてもらったことだ。
 その感情を、他の男性に向けられる訳がない。

 きっぱりと言い切ると、ゆっくりと襖が開いた。霧子たちが戻ってきたと思い、慌てて取り繕ったのだが……。

 そこに立っていたのは、愛してやまない夫の姿だった。
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