スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 ギラギラとしていて、雄を意識させられた。そんな熱が籠もった目で訴えるように見つめてくる。

 言葉が詰まりそうになったが、それでも二人の今後のためにも聞かなければならないだろう。
 覚悟を決めて、彼にまっすぐな視線を向ける。

「……悠真くん。確認しておきたいことがあります」

 凪沙の深刻そうな声を聞いて、ようやく落ち着いたのだろう。
 先程までキスを迫っていた彼だが、それを止める。

 冷静に質問できる態勢になったことにホッとしながらも、これからが正念場なのだと気を引き締めた。

 今から彼に問うことは、二人の未来に大きな亀裂が入るかもしれない。
 もし、彼が素直に認めてきたら、二人の仲はこれっきりだ。

 グッと手を握りしめ、意を決して唇を動かす。

「不倫、していますか?」

 凪沙の淡々とした声が、静かな玄関に響く。

 彼はただ唖然として、こちらを見つめてくるばかりで何も言い出さない。
 焦れてもう一度聞こうとしたのだが、悠真が突然叫んだ。

「はぁ!? 今、なんて言ったの? 不倫って……、あの不倫? 既婚者が別の異性と関係を持つ?」
「はい。その不倫です」

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