スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 深く頷くと、彼はその場にしゃがみ込んだ。そして、恨めしそうに凪沙を見上げてくる。

「ちょっと待って、凪沙。どうしてそんな誤解をしているんだ?」
「……」
「よしてくれ、凪沙。俺は君一筋だ。他の女性と関係を持つなんてあり得ない」

 立ち上がりながら、彼はきっぱりと言い切る。だが、こちらとしても動かぬ証拠を手に入れているのだ。

 そんな言葉だけでは、まだ納得できない。

「私、見たんですよ。ほら、前にアフタヌーンティーをしに行ったホテルがあるでしょう? あそこのロビーでスレンダーな女性と歩いているところを」
「確かに最近、あのホテルによく行っているけど……」
「その女性と不倫しているんですか?」

 視界が滲んでくる。やはり、彼は浮気をしていたのだ。

 まだ結婚してから半年も経っていないのに、他の女性に目を向けていたなんて……。
 鼻を啜りだした凪沙を見て、悠真はものすごく慌てた様子で弁明してくる。

「待って、凪沙。本当に覚えがないんだけど」
「だって、見たんです。後ろ姿しか見えなかったですけど、絵になる二人だなって思って」

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