スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 優しい旦那さまからの気遣いと愛の言葉。ついでに朝食まで用意してくれているこの現状にありがたさと幸せを感じる。

 しかし、凪沙が描いていた新婚生活とは違っている気がして居たたまれなくなってしまう。

 こんなに愛されているのに、何を不満に思うことがあるのか。
 凪沙の悩みを誰かに話したら、絶対にそんなふうに嗜まれてしまうだろう。

 もし、自分が部外者で、こんな話を聞いたとしたら「リア充が何を言っているの?」と言うかもしれない。
 それぐらい悠真は完璧な夫である。スパダリという言葉は、彼の為に作られたのではないかと思うほどだ。

 容姿端麗なのは言わずもがなだし、スラリとした体型で身長もかなり高い。
 百五十センチ後半の凪沙は、常に見下ろされるほどだ。

 大手製薬会社の御曹司という地位にもふんぞり返ることなく、仕事は精力的にこなしていて社内での評判は上々だと聞いている。
 とても優しく大人な彼に恋をしてしまう女性は後を絶たない。既婚者になっても、彼を狙っている人はたくさんいることを知っている。

 彼は誰からも好かれる人だ。だからこそ、友人もかなりたくさんいる。
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