スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 その上、一人暮らし歴が長い彼は、家事全般が得意。料理なんて、店を構えることができるのではと思うほどだ。

 そんな完璧な彼の恋人が、ごく平均的な凪沙で本当にいいのか。そんなふうに、真剣に考えたりもした。
 だけど、彼のことが好きなのだから仕方がない。自信なんて皆無だが、それでも彼のそばにいることを選択して「あれが彼女?」と言われても無視してそばに居続けた。

 自信がなかなか持てない凪沙に『こんなにかわいくて魅力的なのに。どうして自信がないのかな?』と慰めてくれる。本当に優しくて素敵な人だ。

 プロポーズのときに言ってくれた『一生凪沙を愛して、大事にする』の言葉通り、宝物のように大事にしてくれている。わかっている、わかっているのだ。だけど……。
 ただ、新妻である凪沙にも言わせてもらいたいことがある。

「私も妻として夫を支えたいんだよ、悠真くん」

 結婚を機に仕事を辞めたので、日々の生活に時間の余裕はある。だからこそ、朝は夫より早めに起きて、栄養バランスを考えた朝食を作りたい。

 ランチミーティングや会食がない日には、彼にお弁当を持たせてあげたいとも思う。
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