スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 一緒に朝ご飯を食べ、ワイシャツに袖を通している夫のネクタイを結んであげたい。
 玄関までお見送りをして、いってらっしゃいのハグやキスだってしたいのだ。

 それが、新婚夫婦のあるべき姿であると信じている凪沙からしたら、現在の自分のこの体たらくに頭を抱えたくなってしまう。

 新婚生活がスタートして、早三ヶ月。だが、未だに彼のお見送りをしたことがあまりないのは、大変マズイ事態ではないだろうか。

 彼は大手製薬会社の御曹司として、重責ある仕事を任されている。
 そんな彼のサポートを妻としてしたいのだ。
 とはいえ、仕事面で役に立つことは難しい。となれば、彼の生活面のサポートはしたいし、凪沙にも役に立てることがあるはずだ。

 だが、それができない現状に頭が痛くなる。
 その原因と言えば、彼が可能な限り――凪沙の体調が悪いとき以外――凪沙を求めてくるからだ。

 もちろん彼に愛されることは嬉しいし、凪沙だって彼を求めたいと思っている。
 彼との触れ合い時間は幸せを感じるからこそ、彼に抱きしめられることは好きだ。
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