Lemon Sour〜愛を信じたあの頃〜

暗闇で表情は見えない

漂う沈黙に、私の鼓動だけが音を立てる


「…」


どうしよう、泣きそう


お願い、何か喋って
間が持たない

私の心臓は八切れる寸前


君の視線は、眠っているテレビを向いている



今、なにを考えている?



「それは…付き合う的なアレ?」


「…」


首を縦に振る代わりに目で答えた




「俺…元カノが…まだ忘れられない」


わかってるよ
散々聞いたよ
それでも


「それでもいいっ…!」

付き合っていくうちに、私を好きになってくれれば…


真面目な人で、付き合った相手は絶対大事にする君だから


薄暗い部屋
吐き出した私の言葉に、動揺してるのはわかる


沈黙がひどく長く感じる

なぜか泣きそうで
これほどにない緊張で
でも絶対に目は逸らてはいけない気がして

言葉もでない
音も立てない

君の言葉を待つ以外、なにもしてはいけないように感じさせる空気

果てしなく長い


やっとのことで君が吐き出した


「…っ俺がダメなんだよ…!」


あぁ…

そうだね

君はそういう人


私は希望を持っていいのだろうか
いつか叶うって
がんばっていいのだろうか


「じゃあ…」


2年前、「マリはない」と言われた
2年経った今、もう一度聞く



「元カノのこととか、関係なくて…今とかじゃなくて…」


答えがほしい
気持ちが迷子になってしまう前に


「私のこと、アリかナシ…だったら


どっち?」
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