Lemon Sour〜愛を信じたあの頃〜
唯一その場にいた第三者
感情に流されることはないであろう人物

「俺も記憶曖昧だけど…カラオケで俺とカイでトイレ行ってて、帰ったらなんかいけない光景見た、気がする…
カイの動画は、本物だよ
そのあとカイは、コンちゃんに別れるって告げて速攻タクシーで帰った」
さすがに気まずかったのか、多少動揺しているのが伝わる

「別れたの?」

「そう言ってたよ
ついでにそのあとコンちゃんやばくなって救急車で運ばれた」

救急車…

前に私と飲んでた時もあったな
でもその時、あの子はトイレで動けなくなって
男性がすぐ側にいてもそういうこと一切しなかった
酒癖じゃない
というか、どれくらい一緒にいたと思ってるの
彼女が酔っ払った事なんて何度も見てきたし
酒癖のせいならわかる

それだけしか覚えてないという彼の話に
「わかった」とだけ返信した

刑事ドラマの取り調べかっつーの


あとは本人たちに聞くしかないか
コンちゃんの意見
ユーマの意見
意識あったのか、記憶はあるのか

カイちゃんとは今朝からずっとLINEが続いてるけど…コンちゃん側の意見聞くまで何も言えない
別れて正解とか
もうちょっと考えてとか
どっち側にもつけないから

我ながら冷静
我ながら偉い


「今、どこ?」

「病院」

返信は早かった

「救急車で運ばれたって聞いた
大丈夫?」

初っ端から責めても仕方ない
壁作っちゃうし
とりあえず返信できる状況ってことの確認をした  


「うん…ありがとう」

「電話できるかな?」

「うん…」

向こうも、これから何を言われるのか、予想できてるのだろうか
それとも私がどこまで知っているか怯えてる?


「もしもし?」
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