片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
◇ 片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
結婚願望はあります。
まだ冬の寒さが残っている三月下旬。もう少しで桜も咲くとかニュースで言っていたなと思いながら私は、今日も会社で仕事だ。
「――おい、聞いてんのか醍醐」
「すみません、えっと」
きっと世間では、春休みだろうななんて思いながら目の前の男の話を聞く。
「……はぁ、醍醐は変わらないな」
「あはは」
私、醍醐心茉は『レトルトといえばたちばな食品!』といわれているたちばな食品会社の商品企画部の主任で働いて四年目になる。
「あははじゃない!」
呆れたように言うのは同期であり今は上司の橘花蒼志だ。彼は、成績優秀な上にリーダーシップもあり昇進試験に合格したため今じゃ本部長をしている。
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