片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。

 ***


「お嬢様、お綺麗ですよ!」

「ありがとう、カレン」


 お見合い当日。私は、実家で振袖に着替えさせられていた。久しぶりの着物に窮屈だなぁと思いながらもカレンに微笑む。


「お相手様もきっと、イチコロですわ!」

「あはは……そうだといいわね……」


 ヘアセットとメイクもしてくれてセット完了した頃、そこにお父さんがやってきた。


「心茉、準備できたか?」

「うん」

「そうか、車を待たせてあるから行こう」


 お父さんに返事をし頷くと、カレンは玄関まで見送りをしてくれた。車に乗る直前、仕事に行ったはずのお兄ちゃんがやってきて「やっぱり綺麗!」と言い抱きついてきた。もしかして、仕事サボって……


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