片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
「お兄ちゃん、お仕事は? まさかサボってないよね?」
「え、あー……いやぁ」
「仕事はサボっちゃだめだよ。お兄ちゃんは社長なんだもの、秘書さんに迷惑かけちゃいけないでしょ?」
「でも、心茉を見たくて――」
お兄ちゃんは言い訳をツラツラ言ったけど、秘書さんが後ろからやってきた。
「……やっと追いつきました、社長」
「げっ!」
「げっ、ではない。逃げ足が早いんだから……それに心茉様の邪魔してはいけません」
そう秘書さんは言うとこちらを向いて「申し訳ありません、心茉様」と深いお辞儀を私に対してした。