片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。


 調理室に行くと段ボールに色々な種類のレトルト商品が入っている。これは【夜遅シリーズ】で名前の通り、夜遅く仕事から帰ってもガッツリ食べたい時にカロリーは低くても食べられますよ〜ってものだ。


「試食用の紙コップと、スプーン、お湯も沸かさなきゃ……」


 鍋に水を適当に入れて火にかけてパイプ椅子に座ると、炊飯器が鳴ったのでふんわりと混ぜていると「醍醐」と名前を呼ばれてビクッと肩を震えた。


「……やっぱりここいた」

「あれ、橘花? 橘花も、試食会来たの?」

「……俺、責任者なんだけど。準備するなら言えよ」


 そう言った橘花はワイシャツを捲ると会社のエプロンを付ける。


< 30 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop