片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
「なぁ、醍醐。二人の時は、名前で呼んでくれないか?」
「え? ……どうして?」
「いつかは夫婦になって醍醐も橘花になるんだし。俺も心茉って呼ぶ」
橘花に、名前で呼ばれて胸が高鳴りドキドキが止まらない。好きな人に名前で呼ばれるってこんなにもドキドキするものなのね……
「……わかった、名前ね」
「おぅ」
名前は“さん”付けの方がいいのかな。同い年だし、“くん”の方がいい?
「もしかして名前知らない?」
「し、知ってるよ!! だ、だけど異性に対して名前で呼んだことなくて……少し緊張、するの」
恥ずかしすぎる!!
二十九歳にもなって、男の人の名前呼べないだなんて……中学生か。