片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
「もう、降りよ。予約時間すぎるだろ」
「うん。そうだね」
蒼志がドアを開けたのと同時くらいで私もドアを開けて車から降りた。お店には白の洋風な可愛らしい外観に看板で【ヴァルム】と書かれている。
店内もアンティークのような雰囲気に乙女心がくすぐられる。
「いらっしゃいませ、二名様でよろしいですか?」
店員さんが近寄りそう問いかけたが、蒼志は「予約した橘花です」と答える。
「橘花さまですね、お待ちしておりました。ご案内いたします」
案内され席に着くと同時にお冷と温かいおしぼり、メニュー表がテーブルに置かれた。
「お決まりでしたらこちらのベルでお呼びください」
店員さんは丁寧に頭を軽く下げると、去って行った。