片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。



 二人でメニュー表を眺めていると「どれにする? 決まった?」と蒼志が聞いてきたので私が頷き指を置けば隣から笑い声が聞こえてきた。


「何笑ってんのよ……そんなにおかしい?」

「いや、ごめん。俺もこれにしようと思ってたんだよねぇ……つくづく俺ら好み合うよな」

「そうだね。前から好きな食べ物はめちゃくちゃ似てるよね」

「だよなーあ、飲み物は何がいい?」


 飲み物までは同じではなかったけど、私たちは仲良く同じメニューを頼んだ。
 

 食べ終わり、私たちはヴァルムを出て再び車に乗り込む。私はシートベルトをすると財布からメニュー表に記載されていた金額を出して「蒼志、あのお金……」と彼に差し出す。


「お金はいい」

「えっ、でも」

「俺らってもうただの同僚じゃないだろ? 前のように割り勘なんてしないから。それに数ヶ月後には結婚するんだからそんなこと気にするな」


 蒼志は「はい、財布にしまって」と言ってお金を返してきた。もうあの頃とは違うんだななんて思う。


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