手を伸ばせば、瑠璃色の月
やっぱり、生まれながらのお嬢様も病院の院長の息子も、この類の話には興味があるみたいだ。
「何か特徴ないの?背が高いとか、ファッションセンス抜群とか」
美陽よりも興奮気味に前のめりになった朔を見ていると、まるで女子会を開いているような錯覚を引き起こしてしまう。
「うーん、そうだね…」
まあ、この会話を満更でもなく楽しんでいた私は、わざとらしく考える素振りを見せた。
もちろん、蓮弥さんの特徴なんて1つしか思い浮かばない。
「泥棒さんは、オッドアイって言うのかな、左目が碧いの。何か、海の色を写し取ったみたいに綺麗な、碧色をしてるの」
誰がどこから見ても蓮弥さんだと自信を持って言い切れる、たった1つの素敵な特徴。
今までどんな景色を見ても“綺麗”と思えなかった私がその言葉を当てはめてしまった、あの碧眼。
「オッドアイ?珍しいわね、そんな人に出会うなんて」
やはりオッドアイは希少なのか、両親の影響で顔が広い美陽でさえも小さく目を見開いた。
「そうだよね、私もあの人が初めて」
惹き込まれそうに美しいあの色は、世界中のどの色を掛け合わせても生まれないのではないか。
そんな風に考えて微笑んだ私の耳に聞こえてきたのは、
「…左目が、碧い……?」
普段と異なる雰囲気を持ち合わせた、朔の低い声だった。
「何か特徴ないの?背が高いとか、ファッションセンス抜群とか」
美陽よりも興奮気味に前のめりになった朔を見ていると、まるで女子会を開いているような錯覚を引き起こしてしまう。
「うーん、そうだね…」
まあ、この会話を満更でもなく楽しんでいた私は、わざとらしく考える素振りを見せた。
もちろん、蓮弥さんの特徴なんて1つしか思い浮かばない。
「泥棒さんは、オッドアイって言うのかな、左目が碧いの。何か、海の色を写し取ったみたいに綺麗な、碧色をしてるの」
誰がどこから見ても蓮弥さんだと自信を持って言い切れる、たった1つの素敵な特徴。
今までどんな景色を見ても“綺麗”と思えなかった私がその言葉を当てはめてしまった、あの碧眼。
「オッドアイ?珍しいわね、そんな人に出会うなんて」
やはりオッドアイは希少なのか、両親の影響で顔が広い美陽でさえも小さく目を見開いた。
「そうだよね、私もあの人が初めて」
惹き込まれそうに美しいあの色は、世界中のどの色を掛け合わせても生まれないのではないか。
そんな風に考えて微笑んだ私の耳に聞こえてきたのは、
「…左目が、碧い……?」
普段と異なる雰囲気を持ち合わせた、朔の低い声だった。