カオスの海に溺れるサカナは眠れない夜に夢を見る
BLACKを覆うWHITE~he side~
あいつの夢を見ながら、ふと目が覚めた。カーテンの隙間から覗く明るい空が、まだ早い晩夏の朝を知らせる。ベッドサイドに置いていたスマホに手を伸ばしてAM5時を確認すると、俺は再び瞼を閉じた。もう一度眠ろうとすればするほど、頭だけは冴えてきて、何度も寝返りを繰り返す。夏期講習が終了した今日くらいゆっくり寝たいと思っていたのに、あいつが夢になんか出てくるから台無しだ。心でそんな悪態をつきながら、裏腹な想いが過去の出来事を回想させた。
あいつ……仁那が、微笑んで差し出した手に、眩暈を覚えたあの日──
俺はまだ13で、仁那は15だった。
あいつ……仁那が、微笑んで差し出した手に、眩暈を覚えたあの日──
俺はまだ13で、仁那は15だった。