マーメイド・セレナーデ
「同級生………」

「そ、俺とあいつはこっちの学校でねー」



ソファに座るあたしたちはいつもの定位置、違うのは間に牧さんがいること。
得意そうに話す牧さんの声は右から左へ。翔太の様子が気になってそれどころじゃないの。


さっきからなぜか寄り付けない雰囲気を出して、あたしは話し掛けることも出来ないの。
何に苛付いてるのかわからない。
牧さんの言葉で言えば、ご機嫌ななめ、どころかご機嫌まよこ。

いつもなら、呆れた顔をしながらも馬鹿だな、って笑うのに。


厳しい目付きで、いいかげんにしろと強い意志を感じるの。


牧さんに向けたその目付きはいつかあたしに向けたものと一緒で、あたしを見ているわけではない、と知っていても震え上がるくらい、怖かった。

どうしたの、と聴くことすら出来ない。

それなのに。
それをものともしない牧さんは凄い、と思ったの。
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