マーメイド・セレナーデ
土曜日の朝。
携帯のアラームで起こされる前に眼が覚めた。
聴きなれた曲が鳴ったとき、夢の中でもあたしはその音の意味をきちんと理解していた。
手さぐりに手をのばして迷わずその手に掴むと、慣れた動作で携帯を開く。
「翔太?」
寝起きのかすれた声が自分の声じゃないみたい、そして、次に聞こえるはずの翔太の声を想像してドキドキした。
『起きたか?』
「うん、眼が覚めた」
携帯の向こうから聞こえる翔太の声は1日ぶりだけど、しばらく聞いていなかったみたいに思える。電話越しに聞こえる声は懐かしさとともに、一気にあたしを覚醒へと促す。
翔太から電話が掛かってきたことに嬉しくなって、見られているわけでもないのに鏡を見て手櫛で髪を整えてみたりした。
「どうしたの?何かあったの?」
『いや、……何も。ただ、』
歯切れの悪い翔太を急かすこともせずに翔太の声を待っていた。
カチカチと進んで行く時計の針に気を取られながらも、遅刻さえしなければどうでもいい。
あたしの最優先事項は翔太だから。
『そろそろ、』
どのくらい待ったのか分からない。もしかしたらほんの数秒だけだったかもしれない。それでもあたしには長く感じたし。翔太の声もかすれて聞こえて妙に色っぽい。
携帯のアラームで起こされる前に眼が覚めた。
聴きなれた曲が鳴ったとき、夢の中でもあたしはその音の意味をきちんと理解していた。
手さぐりに手をのばして迷わずその手に掴むと、慣れた動作で携帯を開く。
「翔太?」
寝起きのかすれた声が自分の声じゃないみたい、そして、次に聞こえるはずの翔太の声を想像してドキドキした。
『起きたか?』
「うん、眼が覚めた」
携帯の向こうから聞こえる翔太の声は1日ぶりだけど、しばらく聞いていなかったみたいに思える。電話越しに聞こえる声は懐かしさとともに、一気にあたしを覚醒へと促す。
翔太から電話が掛かってきたことに嬉しくなって、見られているわけでもないのに鏡を見て手櫛で髪を整えてみたりした。
「どうしたの?何かあったの?」
『いや、……何も。ただ、』
歯切れの悪い翔太を急かすこともせずに翔太の声を待っていた。
カチカチと進んで行く時計の針に気を取られながらも、遅刻さえしなければどうでもいい。
あたしの最優先事項は翔太だから。
『そろそろ、』
どのくらい待ったのか分からない。もしかしたらほんの数秒だけだったかもしれない。それでもあたしには長く感じたし。翔太の声もかすれて聞こえて妙に色っぽい。