マーメイド・セレナーデ
「本当は出張だってせずにやっていける仕事だってのにいろいろと口出しして張り切るからいけねぇんだ。あいつ馬鹿だって。それで真知ちゃんと会えない?嘆くところが間違ってるっての、阿呆だね。真性の阿呆」



途中から話の流れが変わってきた気もするが、翔太の仕事が未だに何なのか知らないあたしにとっては聞き逃せない話。

一言一句聞き漏らすまいといたら牧さんが苦笑した。



「残念、俺が口出し出来んのはここまで。もうちょっと待ってやって。電話は毎日必ずさせるからさ」



タイミングよくランチセットが運ばれて来てあたしは返事をする機会を失われた。

だけど、こっちでの翔太を1番知ってるらしい牧さんにここまで言われてはつまらないことで動揺するわけにはいかなかった。


牧さんを、……翔太を信じることしかできないわ。
< 171 / 302 >

この作品をシェア

pagetop