マーメイド・セレナーデ
「そういえばっ」

「あん?」

「旅行雑誌、」



捨てようと思った旅行雑誌。
見当たらなくてそのままにしてたけど。



「もしかして、翔太見た?」

「……うるせぇんだよ」



今度は先ほどよりもずっと赤く染まった肌に口角が上がる。


朝起きて、雑誌を見つけたとき気付いた折目。
あたしが付けた覚えのないドックイヤーがいくつかあった。
それになんども開かれたようなあともあちこちに見受けられて。



「出張に、持って行ったんでしょ?」



翔太はムスッとだんまりを決め込んじゃったけど、今ならわかる。翔太は照れてる。
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