マーメイド・セレナーデ
「ああ、そういや時間が空いたら翔太見てたな」
わざとらしく、思い出したかのように牧さんが会話に入ってくる。
ミラー越しに目があって牧さんは笑う。
「牧っ、余計なこと言うなっ」
「最近、翔太はからかいがいがあってうけるな」
心底楽しそうな牧さんと、照れた横顔に不釣合いな鋭い眼光。
その鋭さはあたしに向いていないから、声を掛けられる。あたしに向いてないだけ、楽しくなる。
あたしも、翔太をからかいたいのかも。
「夏には避暑地に行って、秋は紅葉に行って、冬は温泉に行きたいわ。ねぇ翔太」
「……お前の休みが取れるならな」
「……取れるわよ」
期待を込めて言ったのに皮肉で返されてしまう。照れ隠しだとしても泣いちゃうわ。
だけど状況は翔太が不利でいつになく不機嫌になっていく。
その様子を見て牧さんと目があうと通じるものがあってあたしはくすくすと笑みを零すの。
いつもなら鋭い目付きで射殺すように睨み付けてくるのに、しなくなった翔太は車内では居心地るそうに肩を揺らした。
わざとらしく、思い出したかのように牧さんが会話に入ってくる。
ミラー越しに目があって牧さんは笑う。
「牧っ、余計なこと言うなっ」
「最近、翔太はからかいがいがあってうけるな」
心底楽しそうな牧さんと、照れた横顔に不釣合いな鋭い眼光。
その鋭さはあたしに向いていないから、声を掛けられる。あたしに向いてないだけ、楽しくなる。
あたしも、翔太をからかいたいのかも。
「夏には避暑地に行って、秋は紅葉に行って、冬は温泉に行きたいわ。ねぇ翔太」
「……お前の休みが取れるならな」
「……取れるわよ」
期待を込めて言ったのに皮肉で返されてしまう。照れ隠しだとしても泣いちゃうわ。
だけど状況は翔太が不利でいつになく不機嫌になっていく。
その様子を見て牧さんと目があうと通じるものがあってあたしはくすくすと笑みを零すの。
いつもなら鋭い目付きで射殺すように睨み付けてくるのに、しなくなった翔太は車内では居心地るそうに肩を揺らした。