マーメイド・セレナーデ
しなくなったってことは翔太にもきっとなにか心境の変化があったはずだから。
じっと横顔を見つめてると視線に気付いた翔太が振り向く。



「んだよ、見んな」



空いた手であたしの目を塞ぐから外そうと躍起になってたところに牧さんの声が飛ぶ。



「見せ付けてくれんなー」

「見せ付けてねぇよっ、お前は運転だけに集中しろっ」

「へーへー、心の狭い男は愛想尽かされるからな、気をつけとけ~」

「うるせぇっ」



――そのくらいで愛想尽かさないわ。だって子どものころからすきなんだもの。


しょうもない言葉の応酬はまだ続いている。
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