マーメイド・セレナーデ
狭い通路を目の前の小柄な女性の背中を追いかけて歩く。

通路自体はそんなに狭くはないのだけれど両側にいろいろと物が置かれていて、狭い。


人とすれ違うのにも一苦労で立ち止まって道を譲る。それくらい狭い。
目の前の女性は、行き先を心得ているようで、脇目も振らず一心に先に進むから、あたしもついて行くのに精一杯で、周りを見る余裕なんてない。


すれ違いざまに頭を下げられるからあたしも同じように頭を下げる程度。

前の人には挨拶もせずに通る人も居て。

関係者しか通れない廊下だということは視界から入る情報でわかるのだけど、どうしてこの女性とあたしへの態度が違うのかしら。
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