マーメイド・セレナーデ
家の前に着いたとき、人目があると考えれば下手に行動は出来なかった。

それが両親と祖父母であれば尚更だった。


あたしは運転席に座る翔太に向き合い、話をしているように、周りから見せた。仲が良いということにしなければ、実際はどうであれ。


近付いてくる翔太に内心、嫌悪を抱いていても眼をつぶればわからない。
むしろ、誰か有名人の顔でも思い浮かべとこうか。翔太でなければ誰でもいい。


触れた柔らかい感触にも負けず応えた。


人が見ているのだから触れるだけのキスにすればいいのに、調子に乗った奴は後頭部を押さえ、濃厚なディープキスに変わる。
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