マーメイド・セレナーデ
代わり、でもいいよ。
俺にその彼を重ねて見ても、いいよ。



あの頃の延長線上にいる、と夢を見ていた。
優しく真知と呼んで、でもその声音とは裏腹に意地悪そうな顔を乗せている。
子どもっぽく甘えても振り払いながらもちゃんと最後は繋がってる。


けど、その言葉ではっと気付く。



ごめんなさい。



優しい言葉を掛けて慰めてくれてる、そうわかった途端一気に押し寄せる罪悪感。

利用してる。
あたしに都合のいい夢を見るために、鉄平さんを利用してる。


だって、あたし。

さっきから翔太の名前しか呼んでない。
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