マーメイド・セレナーデ
次に眼を覚ましたときあたしは横になっていた。

視界を覆う紺色に何がなんだかわからなかった。
ただ暖かくて、まだ起きたくなくて、眼をつぶれば温もりに寄り添い眠りについた。



また次に眼が覚めたとき、必要以上に喉が渇いていた。



「い、ま……なん、こほっ………」

「昼過ぎたとこ」

「ん……」



昼過ぎ……。
お昼、……………誰?


寝ぼけた頭はなかなか早く働いてくれなくて、今ようやく返事をしたのは誰、と思い至ったのだ。

すごく近いところから低い声が聞こえたような。
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