マーメイド・セレナーデ
食べ切れないくらいの料理に礼を言って、翔太の家をあとにした。

一体なんのために行ったのかしら。
特別な話もするわけでもないし。


翔太の考えていることがわからない。
何を考えて、何を思って、あたしを振り回すの。

許婚って、嫌ってるんじゃなかったの。


翔太、翔太。
あたし、何もわからないわ。


いつものようにエスコート。腰を抱かれることはないけれど、助手席のドアを開けてあたしを促す。
促されるままに、座って。助手席のドアを閉められ、外を眺める。


運転席に座る翔太も2日目にして見慣れ、様になってると思う。



「何見てんだよ、俺様見るのに金とんぞ」

「お金とる価値もないわ」

「そりゃ真知、お前のことだ」



確かに、あたしのほうがそんな価値もないでしょうけど。
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