マーメイド・セレナーデ
いつ帰ろうかしら。

翔太の言いなりで振り回されるのはもうこりごりだわ。
何もわからないまま、振り回されて、疲れるのはもううんざりなの。

明日帰ろうかしら。



「今日、帰んなかったな」



こういうとき、あたしはなんて言っていいのかわからなくなる。
どうして、わかるの?

微かに、動揺してしまう。
そんなことないって、思えなくなる。



「起きるのが、遅かったもの」

「…………いつ帰んだ?」

「いつでもいいでしょう、あたしの勝手だわ」



なのに、いつもこうやって怪しい雰囲気になって行くの。


でも。
……いつも、っていつ?



「送るっつっただろうが!」

「送る必要なんてないわ!あぁ、そうね。いいとこ見せなきゃいけないものね。………あたしをアクセサリーにしないで」



考えとうらはらに口を飛び出す言葉。何か言い返されると思ったのに、口をつぐみ何か堪えるような顔付きにあら、と思う。


このまま、黙ってればいいのだわ。


会話のない2人の間の空気が初めて居心地悪いものに感じた。
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