マーメイド・セレナーデ

読めない意図

田舎の朝は早い。

仕事の日でもこんなに早く起きないわ。
学生のとき以来かしら。



「もう帰るのかい?来たばっかりだろうに?」

「ごめんね、お母さん。仕事の都合でね」

「そうかい、久しぶりに家族で過ごせると思ったのにねえ。今回は翔太くんも一緒にねえ」

「また、帰ってくるから」



嘘までついて帰りたいと言ったことに罪悪感を覚えるけど、翔太との仲睦まじさを見たいという視線には耐えられない。

一人になって、落ち着きたい。



「じゃ、翔太くん。真知をよろしくね」

「はい、おばさん。家までちゃんと送り届けますから」
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