マーメイド・セレナーデ
え、
ドキリとしたがあたしに振り向いた顔はまた嫌らしい笑みを張り付けていて、いつものポイント稼ぎかと思う。

また4時間もかけて帰らなきゃ行けないのか。
実家なのに落ち着けないなんておかしいわ。



「でも翔太くんまで向こうに暮らしてるなら安心ねえ、お父さん」



ふとした親の言葉に眼を剥く。
え、翔太、……も。



「じゃあ、そろそろ俺達は帰りますね」



腰に手を回され誘導されるように家を出て車に乗った。


一緒……?翔太、も?

混乱する頭にあたしは呆けた顔をしていた。
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