マーメイド・セレナーデ
店の裏口を出て、両手を空に突き上げてぐっと伸びをした。
立ちっぱなしで強張った身体を解すようにぐぐぐっと伸びて、そのまま力を抜いて両手を重力に任せるまま下ろした。
んー今日も働いた。買い物にでも行こうかな。
肩を上げ下げしながら、一歩を踏み出す。
どこのお店に行こうか、迷いながらも足だけ進めて。
店の新作はすでに買った。
ブーツにスカート。
買いたいものが沢山ある。
あまり時間がない中で、4店梯子して、ショップバッグを両手に提げる。
お店からは徒歩で来れる距離だけど、なんだか足に違和感を覚えるほど歩いた気がする。
帰ったらお風呂に浸かってのんびりしたいわ。
もう、気持ちは家に向いていたのに。あれを見て、ふと立ち止まる。
「あ、家探すんだったわ」
不動産の大きい広告が目に入って、ふと言葉が零れた。
そして、雑踏の中、あたしの耳に真っ直ぐ届いた声。
「真知、」
聞きたくて、聞きたくなかった、……翔太の声。
振り返りたくなんてなかった。
立ちっぱなしで強張った身体を解すようにぐぐぐっと伸びて、そのまま力を抜いて両手を重力に任せるまま下ろした。
んー今日も働いた。買い物にでも行こうかな。
肩を上げ下げしながら、一歩を踏み出す。
どこのお店に行こうか、迷いながらも足だけ進めて。
店の新作はすでに買った。
ブーツにスカート。
買いたいものが沢山ある。
あまり時間がない中で、4店梯子して、ショップバッグを両手に提げる。
お店からは徒歩で来れる距離だけど、なんだか足に違和感を覚えるほど歩いた気がする。
帰ったらお風呂に浸かってのんびりしたいわ。
もう、気持ちは家に向いていたのに。あれを見て、ふと立ち止まる。
「あ、家探すんだったわ」
不動産の大きい広告が目に入って、ふと言葉が零れた。
そして、雑踏の中、あたしの耳に真っ直ぐ届いた声。
「真知、」
聞きたくて、聞きたくなかった、……翔太の声。
振り返りたくなんてなかった。