マーメイド・セレナーデ

「仕方ないだろ、」

「仕方ないってなに？あたしのことどうして。あたしの……、あたしの生活に関与しないでよ！お前なんか出ていけ、顔も見たくないって怒鳴ったこと忘れたとは言わせない！」

「あれは、」



勢いに任せて募るように言い放ったら、眼の前でうろたえる俺様があたしの知る昔の翔太に見える。
あの頃は俺様ではなかった、変わったのはあたしにきらいだ、と叫んだときから。
意地悪なのは変わらない、だけど一人称は間違っても俺様ではなかった。



「あんたが言った通り、あの田舎から出て行ったし、あんたに会おうともしなかった。ちゃんと約束は守ってる。のに、あんたが、あんたが………」