マーメイド・セレナーデ
泣いたって何も変わらない。
わかってるのに止められない。

そんなこと、わかってる。
子どものままで居られないから、泣いて我を通そうとするのはやめたのに。

あの頃の自分の気持ちがリンクする。


だいすきだった、翔太が1番なによりもだいすきで。
1番だいすきな人と許婚で、将来結婚できることが幸せだったあの頃。



「だいきらいだと言ったのはそっちじゃないの!」



だからあたしだってあんたをだいきらいになったんだから。

怒鳴られるようなこと、わからなかった。
だけど突然その鋭い眼で睨んで叫んだじゃないの。


だいきらいだ、って。
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